ひきこもりはじめて3か月以内にゲーム障害のリスクが高まる?(Kubo T et al. PCN 2024年1月号掲載)

2024年02月29日

オンラインゲームの普及により、世界的にゲーム障害への注⽬が集まっていますが、ひきこもりとゲーム障害の関連を⽰した研究はいまだ少ない状況です。そこでひきこもり研究ラボ@九州大学では、両者の関連を調べるために、全国の20〜59 歳の未就労者500 名を対象として、ひきこもり診断評価スクリーニング票HiDE-Sを活⽤したオンライン調査を実施しました。

HiDE-Sとは (ラボHPの研究ツールからも詳細を確認できます)

外出状況と機能障害の有無をもとに「⾮ひきこもり」と「病的ひきこもり」「⾮病的ひきこもり」に分類し、さらにひきこもり継続期間をもとに7 つのグループに分けました()。GAS7−J・PHQ-9・TACS-22 などの⾃記式質問紙により、ゲーム障害傾向・うつ傾向・新型/現代型うつ傾向の強さを数値化し、U 検定でグループ間の差の⽐較を⾏いました。

その結果、「⾮病的ひきこもり」群よりも「病的ひきこもり」群の⽅が、抑うつ傾向が有意に⾼値でした。「病的ひきこもり(3 ヵ⽉未満)」群が最もゲーム障害傾向が⾼く、「病的ひきこもり(6 ヵ⽉以上)」群と⽐べ、有意に⾼値でした。「病的ひきこもり(3 ヵ⽉未満)」群のゲーム障害傾向が有意に⾼かったことから、ゲーム障害傾向の有無に対するロジスティック回帰分析を⾏い、判別に関する予測因⼦を探索しました。その結果、PHQ-9「抑うつ傾向」⾼値、TACS-22「社会的役割の回避」低値、「物理的ひきこもりによる機能障害有」の3 因⼦がゲーム障害傾向の有無を予測する因⼦として同定されました。

興味深いことに、最も利⽤されていたゲームはロールプレイングゲームでした。「社会的役割の回避」傾向の低さがゲーム障害傾向を有意に上げる予測因⼦であったという結果に鑑みると、ひきこもり状態に陥った際、社会的役割(ソーシャルロール)の喪失を補うために、ゲーム世界で⾃分の役割を獲得することを⽬的にロールプレイングゲームなどのゲームを過剰に使⽤することがゲーム障害に陥る誘因かもしれないことを⽰唆しています。

こうした結果を筆頭著者の久保太聖氏(公認心理師/臨床心理士・ひきこもり研究ラボ@九州大学)が中心となり論文としてまとめ、日本精神神経学会が発行している「Psychiatry and Clinical Neurosciences (PCN)」の2024年1月号に掲載されました。

Hikikomori and gaming disorder tendency: A case-control online survey for non-working adults.

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